Yahoo!ニュース 特集編集部が8月にリリースした特集記事
『「人間が持っている能力を使い切るには、人生は短い」羽生善治はなぜ勝負を続けるのか』。
「RED Chair」というこの企画は、自らの挑戦で新しい時代を切り開く先駆者たちが、文字通りRED Chair(赤い椅子)に座ってインタビューに応じるものです。
このインタビューがとてもよい気づきを与えてくれたので、感想を簡単にまとめてみました。
目次
羽生善治さんとは
まずは今回のスピーカーである棋士の羽生善治さんの経歴を簡単にご紹介します。
羽生さんといえば、言わずと知れた将棋界のスーパースター。
1970年生まれ。1985年に15歳の中学生でプロ棋士になり、1989年には初のタイトルを獲得。2019年6月に通算勝数が歴代単独1位になりました。
日本将棋連盟の発表によれば、これまでの成績は2027対局中1434勝591敗2持将棋(2019年6月4日対局分まで)。
将棋界で現役生活の間に600以上の勝数を挙げることは大変な快挙で、達成棋士には「将棋栄誉賞」が与えられます。※1
前人未到の1434勝を達成したのはもちろんすごいことなのですが、羽生さんの0.708という勝率がまたすごいもの。
連盟が発表している通算勝数ベスト10の中でも、勝率が0.7を超えているのは羽生さんだけです(当時)。
そして、将棋の実力はもちろんのこと、その考え方や生き方までもが人々から注目を集めています。
著書も多くあり、しかもそれは将棋の解説書に留まりません。
『決断力 (角川新書)』や『羽生善治 闘う頭脳 (文春文庫)』のような羽生さんの考え方や生き様を記したものまでもがベストセラーになるという注目のされようです。
私は将棋に詳しいわけではありませんが、TVや動画アップされている羽生さんのドキュメンタリーや将棋解説をたまに観ることがあります。
そこで感じる普段のほわっとした雰囲気と、試合前の鬼気迫る表情のギャップには、『集中するとはこういうことなんだな』と視覚的に感るものがあります。
Yahooインタビューでの羽生さんは、終始穏やかな表情でしたが、そのものごとの本質を捉えた鋭いものでした。
ここからはインタビューを視聴した感想です。
切り替えについての言葉
インタビューの中で羽生さんが切り替えについて語った言葉が印象的でした。
「ダメな時や集中できない時があるのはしょうがない」
「浮き沈みがあるのは止むを得ない」
「感情の起伏は必ず起こる。起こることはしょうがない」
『割り切る』や『しょうがない』という言葉がたくさん登場します。
気を張りすぎず、悪い時は悪いと流す。
割り切ることで次は新たな気持ちで臨む。
棋士と言えば、対局がない時でもストイックに勉強し、“勝ち”への執着は凄まじいものというイメージがあるので、この言葉は少し意外に感じました。
ですが、これこそが、次の項目と合わせて、羽生さんがモチベーションを保ち、勝ち続けられる秘密でした。
その時に持っている最適な力を使う
『その時その時に持っているピークの能力を最前線に出す』
この「若い時・老いた時」という年齢で切り替えるという考え方にハッとさせられました。
若い頃は簡単にできたのに、歳を重ねたら昔と同じようにやるのは難しくなったことって結構ありますよね?体力が必要なことはまさにそうです。
若い頃にできたことができなくなると、『後退した』ように感じて悲しくなっていたのですが、羽生さんのインタビューを視聴していて考えさせられたのは、年齢と経験を重ねるうちに変化してきたものを受け止められないことで、その時に最も出せるはずの力に目を向けられなくなっているのでは?ということでした。
過去に捉われて、いまのベストな力を出すことができなくなっているのでは?と。
羽生さんは、そんな年齢を重ねることに伴う変化を、肩の力を抜いて、本当にすんなりと受け入れているように感じました。
このYahooのインタビューのタイトルにもあるように、「人間が持っている能力を使い切るには人生は短い」や「才能が枯渇することはない」と考えているからこそ、未来を信じながらその時のベストな力を使うことができているのでしょう。
まとめると、
ダメな時はさくっと割り切って、その時に出せるベストな力の使い方で結果を出していく。
これがモチベーションを保ちつつ、強さを維持する秘訣なのだと思います。
インタビュー動画は20分ほどのものですが、羽生さんの回答がどれも興味深く、気がつけばあっという間に見終わってしまいます。
たくさんの気づきを与えてくれるとても良いインタビューでした。
(追記)現在動画の配信は終了しています。
下記リンクでインタビュー記事が読むことができます。
Yahoo!ニュース 特集編集部 特集記事
『「人間が持っている能力を使い切るには、人生は短い」羽生善治はなぜ勝負を続けるのか』。
※1 Yahooニュースのこちらの記事を参考にさせて頂きました。
羽生善治九段は生涯通算2000勝まで到達できるか?(2019/6/5)
ー新着記事ー